「起業って実際どうなの?」現場のリアルから学ぶ最初の一歩

「起業って、実際どうなんだろう?」

キラキラした成功譚や、逆に泥臭い苦労話。
いろんな情報が溢れているけど、本当のところってなかなか見えにくいですよね。

こんにちは、ライターの南野紗英です。
私はこれまで、たくさんの企業がまさに“立ち上がる瞬間”を間近で見てきました。
そこには、目を輝かせる熱量と、先が見えないカオスが渦巻いていました。

この記事では、私が取材を通して感じてきた「はじめの一歩」のリアルを、共感力と現場の空気感を大切にしながらお届けします。
少しでも、あなたの「知りたい」に応えられたら嬉しいです。

起業のイメージと現実のギャップ

「起業」と聞くと、どんなイメージが浮かびますか?
もしかしたら、華やかな成功を収めた若き天才、みたいな姿を思い描くかもしれませんね。

SNSやメディアで語られる「華やかさ」

SNSを開けば、大型の資金調達に成功したニュース。
メディアでは、革新的なサービスを生み出した起業家のインタビュー。

たしかに、そういった「華やかさ」は起業の一つの側面です。
自由な働き方、社会に大きなインパクトを与えるやりがい。
そんな魅力に惹かれる人も多いでしょう。

でも、ちょっと待ってください。
その光の裏には、どんな日常が隠れているのでしょうか。

現場にあふれる「しんどさ」や「地道さ」

私が取材で見てきた起業の現場は、想像以上に「地道」で、時には「しんどい」道のりでした。

例えば、こんな声を聞いたことがあります。

「最初の1年は、本当に寝る間も惜しんで働きました。
顧客獲得のために、毎日何十件も電話をかけたり、夜遅くまで資料作成に追われたり。
華やかなイメージとは程遠い、泥臭い作業の連続でしたね。」

そう、成功の裏には、数えきれないほどの小さな努力と、見えない苦労が積み重なっているんです。
資金繰りのプレッシャー、たった一人で決断を下す重圧、そして、終わりが見えない作業。
これらもまた、起業のリアルな一面です。

若手起業志望者が抱く理想と不安

特に20代、30代の起業を志す人たちは、大きな理想と、それと同じくらいの不安を抱えているのではないでしょうか。

理想としては…

  • 自分の「好き」や「得意」を仕事にしたい!
  • 時間や場所に縛られずに、自由に働きたい!
  • 若いうちに、大きなことを成し遂げたい!

こんなキラキラした想いがある一方で、

不安なことと言えば…

  • 自分のアイデアって、本当に通用するのかな…?
  • 失敗したらどうしよう…周りに迷惑かけたくないな。
  • お金のこと、法律のこと、何から手をつければいいんだろう?

こんな風に、期待と心配が入り混じるのは、すごく自然なことだと思います。
大切なのは、そのギャップを理解した上で、自分なりの一歩を踏み出す勇気を持つことなのかもしれません。

起業の現場から聞こえてきた声

実際に起業した人たちは、どんな経験をしてきたのでしょうか。
私が取材で出会った起業家たちの「生の声」から、そのリアルな道のりを探ってみましょう。

「最初の一歩」はどう踏み出されたのか

「最初の一歩」と聞くと、何か特別なきっかけや、ドラマチックな出来事を想像するかもしれません。
でも、多くの起業家が語るのは、もっと身近で、個人的な動機でした。

ある地方創生に取り組む起業家は、こんな風に話してくれました。

「地元がどんどん寂れていくのを見て、何とかしたいってずっと思ってたんです。
大きなビジネスプランがあったわけじゃない。
ただ、地元の人たちが笑顔になれるような小さなことから始めようって。
それが最初の一歩でしたね。」

また、自分の趣味や特技を活かして起業した人もいます。
「好き」という強いエネルギーが、周りを巻き込み、形になっていく。
そんなケースも少なくありません。

共通しているのは、「誰かの役に立ちたい」「こんな未来を作りたい」という強い想い。
その想いが、具体的な行動へと繋がっていくようです。

例えば、日本の伝統文化を世界に広めるという熱い想いから株式会社和心を立ち上げた森智宏氏のような起業家もいます。
彼の情熱とリーダーシップがどのように事業を形作っていったのかは、「森智宏の人物像は?森智宏の情熱とリーダーシップが生み出す「和心」の魅力とは?」で詳しく知ることができます。
彼のように、強い信念が最初の一歩を支えるケースは少なくありません。

壁にぶつかったとき、何を考えたか

起業の道は、決して平坦ではありません。
必ずと言っていいほど、大きな壁にぶつかる時が来ます。

資金が底をつきそうになったり、信頼していた仲間に裏切られたり、思うようにサービスが広まらなかったり…。
そんな時、彼らは何を考え、どう乗り越えてきたのでしょうか。

あるテック系スタートアップのCEOは、創業初期の苦労をこう振り返ります。

「ユーザーが全然増えなくて、もうダメかもしれないって何度も思いました。
でも、その度に原点に立ち返ったんです。
『自分たちは、誰のために、何を作りたかったんだっけ?』って。
そうすると、不思議とまた頑張れるんですよね。」

壁にぶつかった時こそ、自分たちの存在意義やミッションを再確認する。
それが、次の一歩を踏み出すための力になるのかもしれません。

支えてくれた人・コミュニティの存在

一人で抱え込まず、周りを頼ることの大切さも、多くの起業家が口にします。

起業家を支える存在の例

支えてくれる存在具体的なサポート例
メンター経験に基づくアドバイス、精神的なサポート
起業家仲間同じ悩みや目標を共有、情報交換、モチベーション維持
家族・友人日常的な励まし、精神的な安定
投資家・支援機関資金提供、事業戦略に関する助言、ネットワーク紹介
オンラインコミュニティ気軽な相談、専門知識の共有、全国の仲間との繋がり

特に、同じように挑戦している起業家仲間や、経験豊富なメンターの存在は大きいようです。
悩みを共有したり、客観的なアドバイスをもらったりすることで、視野が広がり、新たな解決策が見えてくることもあります。

孤独を感じやすい起業家にとって、信頼できる人やコミュニティとの繋がりは、まさに生命線と言えるでしょう。

起業準備のリアル:何から始めたのか?

「よし、起業しよう!」と決意したものの、「で、具体的に何から手をつければいいの?」と戸惑う人は多いはず。
ここでは、起業準備のリアルなステップについて見ていきましょう。

アイデアより「動き出すこと」の重み

完璧なアイデアが浮かぶまで待つべきか、それとも、まず行動してみるべきか。
これは多くの人が悩むポイントかもしれません。

私が取材してきた起業家たちの多くは、「まず小さくてもいいから動いてみること」の重要性を語っていました。

もちろん、アイデアを練ることは大切です。
でも、頭の中で考えているだけでは、それが本当に市場に受け入れられるのか、どんな課題があるのかは見えてきません。

小さな検証を繰り返す

例えば、

  • まずは簡単な試作品を作って、友人や知人に使ってもらう。
  • ターゲット顧客になりそうな人に、直接話を聞いてみる。
  • SNSでアンケートを取ってみる。

こんな風に、小さなアクションを積み重ねることで、アイデアは磨かれ、より現実的なものへと進化していきます。
最初から100点満点を目指すのではなく、60点でもいいからまず形にしてみる。
そして、フィードバックをもとに改善していく。
このサイクルを回すことが、成功への近道なのかもしれません。

お金、仲間、時間……現実的なリソースの話

情熱だけでは、事業は続けられません。
お金、仲間、時間といった現実的なリソースをどう確保し、どう活用していくか。
これは避けて通れない課題です。

1. お金(資金調達)
自己資金で始めるのか、融資を受けるのか、投資家から出資を募るのか。
事業の規模や内容によって、最適な方法は異なります。
まずは、事業計画をしっかりと立て、必要な資金額を把握することから始めましょう。
日本政策金融公庫の創業融資や、地方自治体の補助金・助成金なども調べてみると良いかもしれません。

2. 仲間(チームビルディング)
一人で全てをこなすのは限界があります。
自分の苦手なことを補ってくれる仲間、同じビジョンを共有できる仲間を見つけることは非常に重要です。
スキルや経験だけでなく、価値観が合うかどうかも大切なポイントです。

3. 時間(タイムマネジメント)
起業すると、やるべきことが無限に湧いてきます。
限られた時間の中で、いかに優先順位をつけ、効率的にタスクをこなしていくか。
自分なりの時間管理術を身につけることが求められます。
時には、「やらないこと」を決める勇気も必要です。

これらのリソースは、最初から完璧に揃っている必要はありません。
事業を進めながら、少しずつ集め、育てていくという意識が大切です。

DiscordやSNSを駆使した情報収集術

現代の起業家にとって、インターネット、特にSNSやオンラインコミュニティは強力な武器になります。

私自身も、取材対象者を探したり、業界の最新情報をキャッチしたりするのに、X(旧Twitter)やFacebook、そして最近ではDiscordのコミュニティをよく活用しています。

SNSやDiscordの活用例

  • 情報収集: 業界のキーパーソンをフォローしたり、関連するハッシュタグを追ったりすることで、最新トレンドや競合の動きを把握できます。
  • 仲間集め・相談: 同じ志を持つ人が集まるコミュニティに参加すれば、有益な情報交換ができたり、気軽に相談できる相手が見つかったりします。
  • テストマーケティング: 新しいサービスや商品のアイデアを投稿し、フォロワーの反応を見ることで、手軽に市場調査ができます。
  • PR・広報: 自社の活動や想いを発信し、ファンを増やすことができます。

特にDiscordは、クローズドなコミュニティを作りやすく、特定のテーマに関心のある人たちが集まって深い議論を交わすのに適しています。
起業家向けのサーバーもたくさんあるので、覗いてみると新しい発見があるかもしれません。

大切なのは、受け身で情報を待つのではなく、積極的に情報を探しに行き、発信していく姿勢です。

起業家という生き方の魅力としんどさ

起業家という道を選ぶことは、単に「仕事をする」ということ以上の意味を持つように感じます。
それは、ある種の「生き方」を選択するということ。
そこには、他では味わえない大きな魅力と、同時に厳しい現実が待っています。

「自由」と「孤独」が同居する日々

「起業すれば自由になれる!」
そう考える人は少なくないでしょう。

たしかに、時間や場所、仕事の進め方など、多くのことを自分でコントロールできる自由があります。
満員電車に乗る必要もなければ、理不尽な上司に気を遣うこともありません。
これは大きな魅力です。

しかし、その自由の裏側には、深い「孤独」が潜んでいることも。

「最終的な決断は、いつも自分一人。
誰にも相談できないプレッシャーを感じることは日常茶飯事です。
成功しても、失敗しても、その責任は全て自分にある。
ふと、ものすごい孤独感に襲われることがありますね。」

ある起業家は、そう本音を漏らしていました。
仲間がいても、家族がいても、経営者としての最終的な意思決定は、たった一人で行わなければならない場面が必ず訪れます。
この「自由」と「孤独」のバランスをどう取るかが、起業家としての日々を左右するのかもしれません。

自分で決めるということの責任

「自分で決める」
これは、起業の醍醐味の一つであり、同時に最も重い責任が伴う部分です。

事業の方向性、資金の使い方、人の採用、そして時には撤退の判断。
その一つ一つの決断が、会社や従業員、そして自分自身の未来を大きく左右します。

「決断疲れ」という言葉があるように、常に意思決定を迫られる状況は、精神的にも肉体的にも大きな負担となります。
しかし、そのプレッシャーを乗り越えて下した決断が、良い結果に繋がった時の喜びは、何物にも代えがたいものでしょう。

自分で決めた道だからこそ、どんな困難があっても前に進める。
その覚悟が、起業家には求められます。

走りながら考える——Z世代の働き方との親和性

私たちZ世代は、変化の激しい時代に生まれ育ち、柔軟な思考やスピーディーな行動を得意とすると言われています。
完璧な計画を立ててから動くのではなく、「まずやってみる(走り出す)」そして「走りながら考える」というスタイル。

これは、まさにスタートアップの現場で求められる動き方と非常に親和性が高いと感じます。

  • 変化への適応力: 市場のニーズや技術の進化に合わせて、素早くピボット(方向転換)する柔軟性。
  • 情報感度の高さ: SNSなどを通じて常に新しい情報に触れ、それをビジネスに活かす力。
  • 目的志向: 単にお金を稼ぐだけでなく、社会的な意義や自己実現を重視する傾向。

もちろん、全てのZ世代が起業に向いているわけではありません。
しかし、従来の働き方にとらわれず、新しい価値を創造したいという想いを持つ人にとって、起業は非常に魅力的な選択肢の一つと言えるでしょう。

フラットな時代の、起業という選択肢

かつては「大企業に入って安定した生活を送る」というのが、一つの成功モデルだったかもしれません。
でも今は、もっと多様な働き方、生き方が認められる「フラットな時代」だと感じます。

大企業か、フリーランスか、起業か

それぞれの働き方には、メリットもデメリットもあります。

働き方メリットデメリット
大企業安定した収入、充実した福利厚生、整った教育制度意思決定の遅さ、縦割り組織、個人の裁量の限界
フリーランス時間や場所の自由、得意分野に特化できる収入の不安定さ、社会的信用の低さ、自己管理の難しさ
起業大きな裁量権、自己実現、社会へのインパクト高いリスク、全責任を負う、資金調達の難しさ

どれが正解ということはありません。
大切なのは、自分自身の価値観やライフプランに合った選択をすることです。

「安定」を求めるなら大企業。
「自由」を追求するならフリーランス。
そして、「挑戦」と「創造」に魅力を感じるなら、起業という道がある。

それぞれの選択肢をフラットに比較し、自分にとって何が一番大切なのかを考えることが、後悔しないキャリアを築く第一歩です。

働き方の多様化と「自分の道」のつくり方

終身雇用制度が揺らぎ、テクノロジーが進化し続ける現代において、「会社に属していれば安心」という時代は終わりを告げつつあります。
これからは、一人ひとりが「自分の道」を主体的にデザインしていく必要があります。

では、「自分の道」はどうすれば見つかるのでしょうか?

1. 自己理解を深める
まずは、自分が何をしたいのか、何が得意で何が苦手なのか、どんな時にやりがいを感じるのかを深く掘り下げてみましょう。
過去の経験を振り返ったり、信頼できる人に自分の強みを聞いてみたりするのも良い方法です。

2. 小さな挑戦を繰り返す
興味のあることには、まず小さくてもいいから挑戦してみる。
インターンシップに参加する、副業を始めてみる、勉強会に参加する。
行動することで見えてくるものが必ずあります。

3. 人との繋がりを大切にする
様々なバックグラウンドを持つ人と出会い、話を聞くことで、自分の視野は大きく広がります。
ロールモデルとなる人を見つけたり、メンターになってもらったりすることも有効です。

「自分の道」は、最初から明確に見えているわけではありません。
試行錯誤を繰り返しながら、少しずつ形作っていくものなのです。

「正解がない」ことの面白さと怖さ

起業の世界には、絶対的な「正解」というものが存在しません。
市場の状況も、競合の動きも、顧客のニーズも、常に変化し続けます。
昨日まで通用していた戦略が、今日にはもう時代遅れになっている、なんてことも珍しくありません。

この「正解がない」という状況は、大きな面白さを秘めています。
誰もやったことのない新しいアイデアを試せる。
自分の手で、新しい市場を切り拓いていける。
その可能性にワクワクする人も多いでしょう。

しかし、同時にそれは大きな怖さでもあります。
頼れる前例がない中で、常に手探りで進んでいかなければならない。
下した決断が、本当に正しいのかどうか、結果が出るまで分からない。
その不安とプレッシャーは、想像以上に大きいものです。

この面白さと怖さ、両方を受け入れる覚悟が、起業家には必要なのかもしれません。
そして、その不確実性の中で、自分なりの「最適解」を見つけ出していくプロセスこそが、起業の醍醐味と言えるのではないでしょうか。

まとめ

「起業って、結局どうなの?」
この問いに対する答えは、一つではありません。

華やかな成功もあれば、地道な努力もある。
大きな自由もあれば、深い孤独もある。
それが、私がこれまで見てきた「起業のリアル」です。

でも、一つだけ確かなことがあります。
それは、起業は特別な才能を持った人だけのものではないということ。

「何かを成し遂げたい」
「世の中を少しでも良くしたい」
そんな熱い想いと、一歩踏み出す勇気さえあれば、誰にでもその扉は開かれています。

私が取材を通して見てきた「起業のリアル」は、決して遠い世界の出来事ではありません。
もしかしたら、あなたのすぐ隣にも、そのヒントは転がっているかもしれません。

最初の一歩を踏み出すために必要なのは、完璧な“正解”を探すことではなく、自分なりの“覚悟”を決めること
この記事が、あなたの「はじめの一歩」を後押しする、小さなきっかけになれば幸いです。