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昨今の車のリコール問題について

1.安心と信頼の日本製品が揺らぎつつある

日本製は、世界でも信頼性が高いとされてきました。
そのため一時は世界中に日本で製造された製品が溢れ、メードインジャパンは多くの人に愛されてきました。

日本人も信頼性が重要な製品を選ぶときには、海外製よりも日本製です。
海外製は信頼性に問題がありすぐに壊れるイメージが強く、日本製なら簡単に壊れないとイメージする日本人は今も多いでしょう。

しかし日本製の安全神話は、様々な分野で昨今大きく揺らぎつつあります。
特に安全神話を信じている日本人に大きなショックを与えたのは、自動車メーカーのリコール問題でしょう。

スバル不正、問題公表後も継続 10万台追加リコール:朝日新聞デジタル

エアバッグや検査結果の偽造など様々な問題が立て続けに起こり、信頼性は大きく揺らいでいます。
日本製は海外製に比べて運転がしやすく、燃費などの性能も良いとされてきました。

それに加えて信頼性も高く、簡単に故障せず長く乗り続けることができるので、海外製ではなく日本製を選んできた人も多いでしょう。
この考え方は日本人だけではなく外国人にも浸透しており、実際に国外では数年前に発売された中古車が今でも現役で走っています。

2.自動車メーカーの不正行為が続いている

しかし近年のリコール問題により、信頼性は大きく崩れました。
資格を持たない従業員が検査を行い、通過するように結果を書き換えていたりするメーカーの不正は、消費者からの信頼を裏切る行為です。

実際にこうした事態を目の当たりにすると、次からはそのメーカーの車は危険だから選びたくないと思う人が多いでしょう。
こうした思いを多くの人にもたれてしまえば、メーカーの信頼にも悪影響を与えます。

そもそもリコール問題はメーカーのイメージダウンになるだけではなく、単純に業績にも悪影響を与えます。
イメージダウンによる売上の低下、リコールに関わる費用を考えたら大きな損失になるでしょう。

バレてしまったときの損失やブランドイメージの低下を考えれば、不正をすることに対して意味は全くありません。
その場を不正行為で取り繕っても後々大ダメージを受けるなら、素直に検査を通過させないなどの対応を取るべきでしょう。

そうした厳しい環境を作って製造することにより、消費者からは信頼を得られブランドイメージを高めることにもなります。
短期的には厳しい環境を作ると業績に悪影響を及ぼすかもしれませんが、長期的に見れば絶対にプラスになるはずです。

3.日本車全体の信頼性にも関わってくる問題である

これまでの日本企業は、こうした考えを理解し実践してきました。
それが世界に誇れるメードインジャパンの信頼性を生み出して、多くの人から日本の製品が支持されてきた理由です。

しかしそうした消費者目線を忘れて目の前の利益や保身に走ると、これまで築き上げてきた信頼性は一気に崩れます。
数十年にわたり同じメーカーの車に乗り続けていた人も、リコール問題が頻発すれば愛想を尽かし他社に乗り換える人もいるでしょう。

愛想を尽かして他社に乗り換える人が増えれば増えるほど、メーカーにはしっぺ返しとなって痛い目を見ることになります。
近年の相次ぐ日本メーカーの不所持を見ていると、今回のリコール問題も特定のメーカーの問題だけとは思えません。

他のメーカーでも同じような不正行為が横行しているのではと消費者は疑心暗鬼になり、ひいては日本車全体の信頼性にも関わってきます。
失われつつある信頼を取り戻し世界に誇れる日本車として復活するためには、どん底の今こそ全ての膿を出し切るべきです。

不正を行っているメーカーがあれば全てを明らかにして速やかに問題に対処し、同じ過ちを二度と繰り返さない体制作りを進めるのが急務です。
そうした体制作りをしてから、消費者に向き合いながら良い製品を作り続けることができれば、失われた信頼を取り戻すことができるでしょう。